フリーランスのための節税ガイド。知っておくべきテクニックとは?

会社に属さないため、自分の思い通りに働き方や稼ぎ方を変えられるフリーランス。その自由度と引き換えに、納める税金の管理も自らで行わねばなりません。特に支出額を抑えるための「節税」はとても重要ですよね。そこで本記事では、フリーランスとして働く方々に向けて節税の方法やテクニックをご紹介していきます。

目次

フリーランスが知っておくべき税金の基礎知識

節税テクニックについて解説する前に、まずは税金に関する基礎知識からご紹介していきます。

フリーランスが納める税金の種類

フリーランスが納めるべき税金は主に

・所得税
・住民税
・個人事業税
・消費税

の4つです。

まずは、それぞれの概要を見ていきましょう。

・所得税

所得税とは、1年間(1/1〜12/31)の所得に応じて課される税金のこと。毎年確定申告を行い、納税予定金額を算出します。そもそも所得とは、収入から必要経費を差し引いたもの。

たとえば事業による売上(収入)が100万円、事業に必要な経費が30万円だった場合、所得は100万円-30万円=70万円となります。

「収入」と「所得」を間違えるミスは確定申告の際にも起こりやすいので、注意しておきましょう。

・住民税

住民税は、都道府県や市区町村に納める税金のこと。住民税も所得税と同様、前年度の所得を元に計算されるため、前年の所得が多いと住民税の金額も高まります。

・個人事業税

個人事業税は、事業で得た所得が年間290万円を超えた場合に発生する税金。

地方税の一つであるため、都道府県へ納付を行います。また、課税対象となるのは法律で決められた70業種のみ。たとえば税理士や弁護士などは課税対象ですが、エンジニアやライターなどは対象外となります。

・消費税

消費税は皆さんもご存知のとおり、何かを購入した際に付随する税金です。ただし消費者側が納税するのではなく、消費税を受け取った法人や個人事業主(フリーランス)が納付を行います。フリーランスの場合、売上で受け取った消費税から経費などで支払った消費税を差し引いて納税する流れとなります。

青色申告と白色申告の違い

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、フリーランスは毎年どちらか一方を選んで行う必要があります。

青色申告は事前に税務署へ開業届を提出し、その上でより厳密な帳簿を作成する必要がありますが、その分65万円の特別控除(経費のようなものを65万円分上乗せできる)が適用されます。

白色申告は開業届などが不要で、帳簿も簡易的な作成で良いとされていますが、青色申告のような特典は付与されません。

結論、節税を行いたい方には「青色申告」がおすすめです。

節税の基本的な考え方

続いて、節税していくために必要な基礎知識についてご紹介します。フリーランスが節税を行うための最大のポイントは「経費を漏れなく計上すること」。前述したとおり、所得税や住民税は前年度の所得に応じて金額が決まります。また所得は全体の収入から経費を引いて計算されるため、経費が大きければ大きいほど所得の額は小さくなり、支払うべき税金が少なくなる(控除額が大きくなる)のです。そのため、事業で使った経費はこまめな記録と領収証の保管が大切です。このように収入と経費のバランスを考えることが、大きな節税に繋がります。

フリーランスのための節税テクニック

ここから、本題であるフリーランスのための節税テクニックをご紹介していきます。先ほどの「節税のキホンの考え方」とあわせてお読みください。

・扶養者や配偶者がいる方は、大幅控除の対象に

フリーランスの中でも扶養者や配偶者がいらっしゃる方は、大幅控除の対象となります。

たとえば扶養している16歳以上の親族(年間の所得が48万円以下)がいる場合、38万円〜63万円の「扶養控除」が受けられます。また年間の合計所得が48万円以下の配偶者がいる場合、13万円〜48万円の「配偶者控除」を受けることができます。

・家賃や水道光熱費は家事按分

事業用に借りているオフィスはもちろんのこと、自宅で事業を行っている方も家賃や水道光熱費は経費として計上することが可能です。自宅勤務の方は、仕事で使っている面積や使用量を算出してプライベートと明確に分ける「家事按分」を行い、確定申告時に報告しましょう。

・通信費や移動にかかる費用も経費に

経費への計上を忘れてしまいがちなのが、通信費や交通費。事業で使用しているWi-Fiなどのネット料金やスマホ代は、もちろん経費として計上ができます。もしプライベートと兼用している場合は、家賃などと同様に家事按分を行いましょう。また事業に車移動が欠かせない場合は、ガソリン代や駐車場代、また修理代なども経費にできます。

・書籍代やセミナー費も経費になる

事業成長に向けてスキルアップや勉強を行っている方もいらっしゃるかと思いますが、その書籍代やセミナーなどの研修費用、資格取得にかかる費用なども経費計上が可能です。きちんと領収書を受領・保管しておきましょう。

・医療費控除も忘れずに

年間の医療費が10万円以上か、所得金額の5%以上となった場合は「医療費控除」が適用されます。ご自身はもちろんのこと、生計をともにする家族や親族の医療費も控除の対象となりますので、治療や通院にかかった費用は忘れずに帳簿をつけておきましょう。医療費控除に関する申請は、確定申告の際に「医療費控除」の部分に記入を行うだけで完了します。

・青色申告なら損失繰越も可能

青色申告を行うフリーランスの方であれば、もし事業で赤字が出た場合でもその赤字を翌年以降、最長3年間繰り越すことが可能です。また繰り越した赤字は、翌年から3年間の黒字と相殺できます。

たとえば今年200万円の赤字が出て、翌年250万円の黒字となった場合、損失申告を行っておけば翌年は50万円のみに税金が課されるという仕組みです。

フリーランスが節税時のミスを避ける方法

ここからは、ミスなく節税するためのポイントをご紹介します。

帳簿記帳をこまめに行う

節税には経費の計上が欠かせないものですが、毎日のように経費が発生しているとつい忘れてしまったり、領収書をもらいそこねてしまったりします。1件1件は少額だとしてもちりが積もれば山となりますので、毎回こまめに帳簿記帳を行っておきましょう。「毎日◎時に記帳する」「毎週◉曜日には領収書をまとめる」など、経理の時間を設定しておくと作業忘れが防げるのでおすすめです。

税務のプロに相談する

売上や経費の金額が大きく管理しきれないという方は、税理士などの専門家を頼るのも一つの手です。税理士はさまざまな個人事業主や法人に対応しているため、節税の知識も豊富。個人にあわせた節税対策を考えてくれるでしょう。

経理をラクにするツールの活用

節税で最も気をつけねばならないのが、確定申告時の申告ミス。

確定申告は複雑な作業であるため

記入に抜け漏れがあり、受けられるはずの控除が受けられなかった…

なんてこともよく発生します。

このような事態を防ぐツールとしておすすめなのが、会計ソフト。簡単な質問に答えるだけで確定申告用の書類を自動作成してくれたり、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取得して仕訳をサポートしてくれたりする便利なツールです。会計ソフトを使用するとミスが起きる可能性も低くなるため、確実に節税することができます。

日々の地道な計画と行動が、大きな節税につながる

今回は、フリーランスとして働く方々に向けて税金についての基礎知識や節税のテクニック、税務でのミスを防ぐポイントなどを解説いたしました。節税を徹底するためには、次の確定申告を見据えた計画と、日々の地道な経理対応が何より大切。また税金に関する知識をより多く蓄えておくことで、さらなる節税が見込めるでしょう。本記事も参考にしながら、ご自身でどんな節税対策ができるのかぜひ考えてみてください。

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