SESの精算幅とは?フリーランスエンジニアが契約時の注意点も解説

「精算幅」という言葉をご存じでしょうか。業務委託契約を交わす際に基本単価に対して基準となる時間を設け、そこに上限時間と下限時間を設定することを指します。この記事では、フリーランスのエンジニアたちに向けてSES契約の中で重要なポイントとなる「精算幅」について詳しく解説します。SES契約初心者の方はもちろん、すでに契約を経験しているエンジニアの方々もぜひ参考にしてください。

目次

SES契約とは?

まずSES契約について解説しましょう。

SESはシステムエンジニアリングサービスの頭文字をとったもので、これはフリーランスのエンジニアが直接クライアント企業と契約を結ぶ形態のことを指します。

企業がシステム開発を進める上で、自社の持つリソースだけでは対応しきれないケースが出てきます。その際に一時的に外部のエンジニアを交えたプロジェクトチームを作り、必要な技術力を補完することでプロジェクトを推進します。この際に外部のエンジニアと交わす契約形態がSES契約となります。

精算幅とは?

続いて本題である「精算幅」について説明します。

精算幅とは、エンジニアが実際にプロジェクトに費やした時間をどのような単位で計算、請求するかを明示したものです。これは契約締結時に決定されます。

精算幅の単位は、具体的には「1時間単位」や「30分単位」、「15分単位」などがあります。つまり、仮に30分単位の精算幅を設けた場合、1時間15分作業した場合でも報酬は1時間分しか発生しません。

精算幅の重要性

精算幅は、報酬を決定する上で大変重要な要素。精算幅が短いほど、具体的な作業時間に近い報酬を提示することが可能となり、正確な作業時間に基づいた賃金を請求することができます。

逆に精算幅が長い場合、例えば1時間単位で精算する場合に、50分しか作業していないときでも1時間分の報酬を請求しなければなりません。これにより、実際の作業時間に対して多めに費用を支払うこととなり、エンジニアにとっては効率的ではありません。

精算幅の設定方法

精算幅の設定は、基本的にエンジニアとクライアント企業の間で交渉を行なって決定されます。契約をスムーズに進めるためにも、両者の合意が得られる精算幅を設定することが重要です。

近年ではリモートワークの普及や労働時間の柔軟化に伴い、短い時間単位での精算幅が設定されるケースも増加傾向にあり、15分単位や30分単位の設定が一般的となってきました。しかし契約の種類や作業内容によっては、まとまった時間を確保する必要があるため、1時間単位での設定を行う場合もあります。

精算幅の例

精算幅は案件ごとに異なり、最も一般的な範囲は「140時間〜180時間」となります。しかし案件の要望によっては、さまざまな範囲が設定されることも。以下にいくつかの例を挙げてみましょう。

精算幅の一例

・140時間〜180時間
・150時間〜190時間
・140時間〜200時間
・160時間〜200時間

このような精算幅の表記は、例えば「140時間〜180時間」を「140〜180h」や「140-180h」と省略して書くことも一般的です。

精算幅には「下限」と「上限」という用語が使われることがあります。たとえば「140時間〜180時間」の場合、140時間が下限、180時間が上限となります。

下限と上限の具体的な例

・140時間〜180時間(下限: 140時間、上限: 180時間)
・150時間〜190時間(下限: 150時間、上限: 190時間)
・140時間〜200時間(下限: 140時間、上限: 200時間)
・160時間〜200時間(下限: 160時間、上限: 200時間)

契約交渉ではしっかりと精算幅も確認を

契約締結時に精算幅についてしっかりと確認し、必要であれば交渉することです。自身のスキルと時間を十分に評価してもらうためにも、適切な精算幅の設定は必須です。

契約交渉の際には、自分の作業スタイルやライフスタイルを考慮した上で、自分にとって最適な精算幅が何かを考えてみてください。そしてその精算幅を企業側に提案し、理解してもらえるように説明することが重要です。

SES契約でフリーランスエンジニアが注意すべきポイント

ここからはフリーランスエンジニアがSES契約を結ぶ際に注意すべきポイントを詳細に解説します。

契約内容の詳細を把握しよう

SES契約を結ぶ際には、契約書の内容を解読することは必須です。契約期間報酬業務内容途中解約に関する条件など、抑えておくべき事項は数多くあります。また、具体的には勤務地所属部門担当プロジェクトなど具体的な業務場面も記されています。

はじめに全体をざっと読んだうえで、自分が重視するポイントを再確認します。自分が求める報酬や業務時間、勤務地など、マッチしていない点はあるか。特に SES 契約では、「業務委託契約」に比べると、労働時間が長く、休暇等の取得も難しい傾向にあります。そのため、自分自身のライフスタイルと合わせた内容となっているか、再チェックが必要です。

コミュニケーションの取り方に工夫を

フリーランスエンジニアは、自分がどのように業務に取り組むかを明確に伝えることが重要です。これには自分自身の専門性を理解し、それをクライアントに対して明確に説明する能力が必要となります。プロジェクトの初めから終わりまで、言葉や態度でプロフェッショナルであることを示し続けることが求められます。

さらにSES契約ではビジネスに関する意思決定プロセスにおいて十分な発言権を持つことが難しいケースもあります。そのため自分の役割を明確に理解し、適切な時に意見を述べ、適切な時には聞く耳を持つことが重要です。

自己スキルの的確な査定を

自己の技術力や経験値を的確に評価することは、適切な報酬を得る上で欠かせません。自身を過小評価してしまうと報酬が低くなってしまいますし、一方で依頼主から見て過大評価してしまうと契約に至らない恐れもあります。

自己のスキルを的確に評価し、自分がどのような価値を提供できるかを明確にすることが必要になるため、自分自身の持っているスキルに対する市場価値を調査し、それらを元に妥当な報酬を設定しましょう。自分のスキルがどの程度の価値を持っているかを理解するためには、他のフリーランスエンジニアとの積極的な情報交換も有効です。

セキュリティ対策も万全に

フリーランスエンジニアとして働く上で、業務内容によっては機密情報に触れることも。そのため適切なセキュリティ対策を行うことが求められます。自分自身のPCのセキュリティ対策だけでなく、情報漏洩を防ぐためのマナーもしっかり守りましょう。

具体的には、

・ウイルス対策ソフトの常時起動やOS及びアプリケーションの定期的なアップデート
・不審なメールの開封を避けるなどの基本的なPC利用のセキュリティ対策
・持ち出し用のデバイスの紛失防止
・公共の場所での情報漏洩を防ぐ工夫

など、さまざまな対策が考えられます。

自己研鑽を怠らない

技術職として働く上で、常に新しい技術を学び続けることは必須です。自己研鑽を怠ると、新しい技術への対応が遅れ、仕事の質や量に影響をおよぼす可能性があります。また、新しい技術の習得は自己の市場価値を上げるだけでなく、クライアントに最適な提案をするためにも欠かせません。

新たな技術の学習は、さまざまな講座やオンラインプラットフォームを使って自宅で学ぶことが可能です。また、具体的なプロジェクトへの参加やオープンソースのプロジェクトへの貢献も、新たな技術の学び場として非常に有効です。

まとめ

今回はフリーランスのエンジニアたちがSES契約を結ぶ場合の注意点である「精算幅」について具体的に解説しました。精算幅はエンジニア自身の報酬を左右する重要な要素です。自身のスキルと時間を適正に評価してもらうためにも、精算幅の設定は重要です。各エンジニアの方々は、契約交渉の際にはこの精算幅についてもしっかりと把握し、自分にとって最適な設定を心がけましょう。

また、案件獲得にはフリーランスキャリアの利用をぜひ検討してみてください。これまでの経験やスキルに応じた案件を紹介させて頂きます。

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