フリーランスエンジニアになると、業務委託契約を結ぶケースに出くわすことも。しかし
そもそも業務委託契約って交わす必要があるの?
どんな点に注意すべきかわからない…。
という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、業務委託契約の概要や必要性、契約を交わす際のポイントを解説します。
初めてフリーランスエンジニアになった方はもちろん、これまで業務委託契約を交わしたことがない方もぜひ参考にしてください。
業務委託契約を結ぶ重要性
業務委託契約書とは業務を依頼する会社と仕事を引き受けるフリーランス間で交わす約束事を記載したルールブックのようなもの。
フリーランスエンジニア側にとっては、自分が何をするべきか、どのくらいの時間が必要か、その仕事に対してどれくらいお金をもらうか、などの大切なポイントを明確にしてくれるガイドラインになります。
ただ契約書は必ずしも作成する必要はありません。口頭やメールの文面で依頼を引き受けるケースも実際はあるでしょう。
しかし、そのような口約束や簡易的な引き受け方をしてしまうと、報酬や作業範囲の面で後々トラブルにつながるリスクが発生します。
そこで、事前に業務委託契約を交わすことで、自分と仕事を依頼する側との間で、勘違いやトラブルを避けることができ、適切にプログラミングや設計を進めることができます。
それによって、依頼側に仕事の価値を提供し、自信を持つことにもつながるでしょう。
フリーランスエンジニアにとって、業務委託契約は自分のスキルと時間を上手く使うための大切な道具なのです。
業務委託契約の基本要素と注意すべきポイント
では、実際に業務委託契約を交わす場合、どのような要素を契約書に含めるべきなのでしょうか。
基本要素と注意すべきポイントを解説します。
タスクの詳細、業務範囲
まず、契約書に記載すべきは具体的な仕事内容です。
目標や成果物に加え、それらを達成するために必要なタスクの詳細を明記しましょう。
例えば、開発するソフトウェアの機能、設計やコーディングの範囲、テストやデバッグの役割など、どんな目的で、何を、どの範囲で、担当するのか明確にする必要があります。
使用技術、開発環境
次に使用技術や開発環境の明記です。
例えば、
- プログラミング言語は(Java、Python、Cなど)は何か
- フレームワーク(React、Angular、Djangoなど)は何か
- 開発ツール(Git、Docker、Jenkinsなど)は何か
- データベース(MySQL、PostgreSQL、MongoDBなど)は何か
など、開発環境を明確にしておきましょう。
納期、遅延ペナルティ
いつまでに、どんなスケジュールで業務を完了するのか、期日の明記も必要です。
プロジェクト全体の期限はもちろんですが、各タスクをいつまでに終了させるのか、マイルストーンの期日も明確にしましょう。
あわせて期日に遅れた場合のペナルティについても記載します。例えば、遅延が発生した場合の料金やその懲罰に加え、適用基準などの詳細も明示しましょう。
特にリリースが決まっているプロジェクトの場合、期日の認識に相違があると重大なトラブルにつながるリスクも。
また一つのタスクが遅れると、プロジェクト全体の進捗が遅れてしまうため、契約書の中でも重要な項目です。
知的財産権
フリーエンジニアであるあなたが開発したソフトウェアやコードについて、知的財産権がどのように扱われるのかも明記しましょう。
一般的には発注したクライアント側に全ての権利が移転されるケースが多いですが、特定の条件下ではエンジニア側が一部の権利を保持する場合もあるので、あらかじめ明確にしておくことをおすすめします。
報酬、支払い条件
報酬の額とその計算方法も明記しましょう。
- 時給なのか
- 日給なのか
- 完全歩合給なのか
- 固定料金なのか
報酬の種類はさまざまですが、明瞭な報酬形態を記載することで、後々のトラブルを回避することにつながります。
また月末締め翌月末払いなのか、プロジェクト完了後に一括払いなのか、支払い条件の明記も必要です。
遅延ペナルティや事前払いの有無もあわせて記載しましょう。
品質基準、保証と免責
成果物が果たすべき品質基準や性能基準も明記しましょう。例えば、下記などが該当します。
- コードの品質
- パフォーマンス
- 可用性
- スケーラビリティ
また、クライアントがあなたに対して求める品質保証や、あなたがクライアントに対して保証する事項、また免責事項についても明確にすることをおすすめします。
どのレベルのアウトプットが出てくるのか不明瞭の状態だと仕事を依頼する側も不安ですし、品質基準を設けることでフリーエンジニア側も不要な修正や再作業を回避することにつながります。
また期待値のズレによるトラブルを未然に防ぎ、コミュニケーションの改善にもなるので、プロジェクトを成功に導きやすくなります。
報告の方法や頻度
プロジェクトの進捗をどれくらいの頻度で、どのように報告するのかも明記しましょう。
具体的な例を挙げると、下記のようになります。
- 月1回の対面によるMTGなのか
- 週1回のオンラインMTGなのか
- 週報や月報といった報告書だけでいいのか
- 都度何かあった際に電話やメールで報告するのか
依頼する会社側の状況やフリーエンジニアの状況に応じて、双方が進めやすい方法や頻度を設定することで、より円滑にプロジェクトを進めることができるでしょう。
変更が生じた場合の条件
例えば、業務内容など、もともと契約書に明記されていた内容に変更が生じた場合、どのような手続きで、どのように費用やスケジュールを変更するのかも記載しましょう。
業務の難易度や範囲が広がったにも関わらず、スケジュールや費用はそのまま…。
といったケースを防ぎ、自分の身を守るためにも、明記するにこしたことはないでしょう。
秘密保持
業務で得た情報を第三者に漏らさないことについても明記します。
契約終了後にも秘密保持が必要な場合は、その期間も記載しましょう。
特にITプロジェクトでは情報漏洩が重大なトラブルにつながるケースがあるので、顧客の信頼を得るためにも盛り込んでおくと良いでしょう。
解約条件
プロセスや解約に伴うペナルティなど、契約をどのような条件で解約できるのかも明記しておきましょう。
事前連絡なしに突然解約されて収入源を失ってしまった…。
という事態を防ぐだけでなく、発注側も解約条件を明記することで安心してフリーエンジニアに仕事を依頼することができます。
業務委託契約書を作成するためのヒント
業務委託契約書の基本要素や注意点について解説しましたが、いざ自分で作成しようとしてもなかなか難しいと思います。
そんな時は法律関連の専門書を参考にしたり、インターネット上の契約書のテンプレートを使用するのがおすすめです。
ただし、書籍やインターネットで公開されている契約書はあくまで一般的な内容になりますので、自分がかかわるプロジェクトにあわせて適宜カスタマイズする必要があります。
もし予算に余裕があるのであれば、弁護士や法律の専門家に相談するのも1つの手段。
その際は、相談内容を整理した上で、相談する専門家の専門性や実績、費用を確認した上で相談を進めましょう。
適切なリスク管理で、トラブルを未然に防ごう
これまで会社員だった方は業務委託契約を交わす機会は少なかったと思います。
しかし、フリーランスになればこうした契約業務も自分で行う必要があります。
業務委託契約は必ずしも必要な手続きではありませんが、トラブルを未然に防ぎ、自分の身を守るためにも交わしておくべきです。
本記事で紹介した内容を参考に、適切なリスク管理をしていきましょう。
また、案件獲得にはフリーランスキャリアの利用をぜひ検討してみてください。これまでの経験やスキルに応じた案件を紹介させて頂きます。