フリーランスとして活動する上で、経費処理は重要な課題の一つです。適切な経費計上は、税務署への申告を正確に行うだけでなく、節税対策にもつながります。しかし、どのような支出が経費として認められるのか、具体的なルールを理解していない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、フリーランスの経費計上に関する基本的な知識として、経費の範囲やルール、節税対策まで詳しく解説していきます。適切な経費処理の方法を理解し、フリーランスとしてのビジネスをより効果的に運営したい方は、ぜひ参考にしてください。
フリーランスの経費として認められる範囲
フリーランスの経費として認められる範囲は、業務に直接関連する支出が基本となります。以下に、主な経費の種類を紹介します。
フリーランスなら誰もが必要とする事務用品や消耗品費。パソコンやプリンター、紙や書類、スマホ、文房具など、仕事に必要な供給品は経費として計上できます。しかし全額経費で計上できるわけではなく、一度に全額を経費で計上することを「一括償却」、数年かけて経費とすることを「定率償却」と呼びます。
ビジネスシーンに欠かすことのできない通信費も経費計上が可能です。具体的には、インターネット料金、携帯電話・スマートフォンの通話料金やデータ通信料、FAX料金を経費として計上できます。プライベートと仕事用に分けるのが難しい場合には、合理的な比率で分け、その割合だけ経費として計上することも可能です。
フリーランスといえど、出張や打ち合わせのたびに交通費が発生します。そのため、電車やバス、タクシーなどの公共交通機関の料金はもちろん、ガソリン代や駐車場料金も交通費として計上することができます。ただし自家用車の場合、減価償却費や保険料などの車両に関する経費には特別なルールがあるので注意が必要です。
遠方への出張が多いフリーランスも多いでしょう。その際の宿泊費は全額経費として計上できますが、観光目的やプライベートの要素が混ざると経費計上は認められません。自身で分けることが難しい場合、旅費交通費については一定の範囲内での概算経費の計上も認められています。
ビジネスの場では接待・会議費が発生することもあります。お客さまへの接待や、新規顧客を獲得するための打ち合わせなど、商談に直結した経費は経費として認められます。ただし、一定額を超えると娯楽費とみなされ、経費控除の対象外となるので注意が必要です。
フリーランスとして活動するために専門家のアドバイスやサービスを利用する場合、その報酬も経費として計上できます。例えば、税理士や弁護士に相談したことで発生した報酬、または、ビジネスコンサルタントの協力を得るための費用などが該当します。
オフィススペースや機器のレンタル料も経費として認められます。コワーキングスペースの使用料、プリンターやPCなどのレンタル料などが該当します。自宅で仕事をする場合でも、部屋の一部を事務所として使用している場合は、その分の家賃や光熱費を経費として計上できます。
ビジネス運営に必要なPCやスマホ、周辺機器やソフトウェアの購入費も経費として認められます。ただし、個人的な使用も兼ねる場合は、ビジネス利用分だけを計上することになります。
経費計上の基本的なルール

経費計上を適切に行うためには、いくつかの基本ルールを理解しておく必要があります。では、どんなルールがあるのでしょうか。
まず、経費計上を考える際に大切なのが、支出が業務に直接関連しているかどうかという点です。業務の遂行に必要な経費であれば計上することができます。例えば、業務で使用するパソコンや文房具、業務用ソフトウェアの購入費用などが該当します。
次に覚えておきたいのが、支出の明確性です。金額や内容があいまいだと税務署から認められないこともありますので、注意が必要です。領収書や請求書には具体的な品目や金額、日付などが記載されていることが重要です。
そして経費を計上する上で欠かせないのが、証拠書類の存在です。費用を計上するためには、領収書、請求書、預金通帳のコピーなど、支出の事実を証明する書類が必ず必要です。意外と忘れがちですが、証拠書類を保存する習慣を身につけましょう。
最後に、プライベートとビジネスの経費を明確に区別することも大切です。経費として計上できるのはあくまで業務に関連するものだけです。常に「これは業務に必要な支出か?」と自問自答しながら経費を管理することが求められます。
必要な証拠書類の種類と保管方法
フリーランスとして、経費計上に必要な証拠書類は何か、適切な保管方法は何かを知ることは大切です。ではどんな書類が必要で、どのように保管すべきなのでしょうか。
フリーランスとして経費を計上するためには、領収書や契約書、通信費や宅配便の明細書、交通機関の利用明細、リモートワークのための家賃の領収書などの証拠書類が必要です。これらの書類は全て経費計上の証拠となります。
証拠書類は、原則として全て保管する必要があります。容易に紛失しがちな領収書などの小さな書類は、クリアファイルや封筒に入れて保管すると良いでしょう。また、大切な契約書などは封筒に入れて保管し、別の場所にコピーするなど二重管理にすると良いでしょう。
昨今では電子領収書や請求書などデジタルの証拠書類も増えています。スキャナーやスマートフォンのアプリを利用して紙の書類をデジタル化し、セキュリティが高いクラウドストレージに保存する方法がおすすめです。重要書類はコピーを作成し、物理的保存とデジタル保存を両方することで、紛失や災害リスクを軽減できます。
証拠書類を最低でも7年間は保管することが法律で義務付けられています。また、整理整頓が大切で、月ごとや業種ごとに分類して保管すると、あとから探しやすくなります。さらに、証拠書類の保管は税務調査をスムーズに進めるためにも必要です。
フリーランスのための節税対策
フリーランスにとって、税金の負担を軽減することは重要な課題の一つです。適切な経費計上に加えて、以下のような節税対策を活用することで、税負担を抑えることができます。
青色申告を活用することで、フリーランスは65万円の青色申告特別控除を受けられます。さらに、正規の簿記の原則に従った帳簿書類を備え付けるなどの要件を満たせば、追加で10万円の特別控除を受けられます。青色申告を行うには、正確な帳簿の記帳と保存が必要ですが、税負担を大幅に抑えることができるため、フリーランスにとって非常に有効な節税対策の一つといえるでしょう。
減価償却費の計上は、事業用の設備や備品を購入した際に、その費用を一括で経費計上するのではなく、耐用年数に応じて毎年少しずつ経費計上する方法です。例えば、100万円のパソコンを購入した場合、耐用年数が4年であれば、毎年25万円ずつ経費計上することになります。この方法を採用することで、初年度の税負担を大幅に抑えることができます。ただし、適切な耐用年数の設定や、資産の管理、記録の保存が必要となるため、税理士等の専門家に相談することをおすすめします。
繰越控除とは、事業初年度などで赤字が発生した場合に、その損失を翌年以降に繰り越して控除できる制度です。例えば、初年度に100万円の赤字が発生した場合、翌年度以降の黒字分から最長10年間にわたって控除することができます。この制度を活用することで、黒字となった年度の税負担を大幅に抑えることが可能です。ただし、青色申告を行っていること、損失の金額や内容を正確に記録し、税務署に提出することが条件となります。フリーランスの方は、赤字となった年度の損失を有効に活用するために、繰越控除制度を理解しておくことが重要です。
正しい経費処理で、ビジネスの成長を加速させよう
適切な経費処理は、フリーランスとして事業を行う上で欠かせない課題です。経費計上の基本ルールを理解し、必要な証拠書類を適切に保管することで、税務署への申告を正確に行うことができます。疑問や不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。適切な助言を得ることで、経費処理に関する問題を未然に防ぐことができるでしょう。
また、案件獲得にはフリーランスキャリアの利用をぜひ検討してみてください。これまでの経験やスキルに応じた案件を紹介させて頂きます。