ChatGPTの登場でデザイナーの仕事はどうなる?影響と活用方法を解説

「ChatGPT」とは、アメリカのOpenAI社が開発したAIチャットボットサービス。質問や要望をテキストで投げかけると、まるで人間が答えたかのような的確な回答が返ってきます。2022年に公開されたChatGPTは瞬く間に全世界へ広まり、「史上最速ペースで成長している一般消費者向けアプリケーション」に認定されました。

そんなChatGPTは、デザイン業界でも活用されるようになってきています。株式会社日本デザインが運営するゼロイチWEBデザインスクール「デザスク」によると、フリーランスWebデザイナーの6割以上が業務でChatGPTを活用しているのだとか(参考)。ChatGPTの登場により、デザイン業界にも大きな変化が生まれはじめています。

現在、ChatGPTの登場によってデザイン業界にどのような影響が出ているのでしょうか。また、ChatGPTをデザイン業務で使うとしたらどのような活用方法があるのでしょうか?本記事でご紹介していきます。

目次

デザイン業界におけるAIの役割

ChatGPTによるデザイン業界への影響についてご紹介する前に、まずはデザイン業界とAIの歴史を振り返ってみましょう。

歴史上初めて「人工知能」という言葉が使われたのは、1950年代のこと。それから幾度かのAIブームが起こり、現在は第三次AIブームの最中にあります。AI研究は古くから行われていましたが、いわゆる画像認識の技術が発達したのは近年のこと。地理空間情報の取得方法が多様になり、ビッグデータ化されたことが大きな要因だと言われています。

その後、2019年には消費者がパッケージデザインをどのように評価するか予測するAI「パッケージデザイン評価AI」が誕生したり、AIによる自動計算でデザインが生成される「コンピュテーションデザイン」や「デザインAI」が各現場で活用されたり…と、近年はデザイン業務におけるAIの活用が一般的になってきました。2022年には、いくつかの連想ワードを入力するだけで画像やアートが生み出される「画像生成AI」が爆発的に普及。今後もさらなる進化が予想されます。

デザイン業務でChatGPTをうまく活用する方法

・デザインコンセプトや仮のキャッチコピーを生成する

デザインはアートのように全くゼロから突発的に生み出されるものではなく、ターゲットのニーズや商品コンセプトなどを踏まえて作っていくものです。このようなデザインの元となるコンセプトやキャッチコピーをChatGPTで生成し、デザインの方向性を固めていくという活用方法があります。単にコンセプト案を出してもらうだけでなく、デザインの企画書作成の際にChatGPTを利用しているデザイナーもいます。

・新たなデザインを作る際の壁打ちとして活用する

企画に沿ったデザインがなかなか思い浮かばないときや、新しい視点からデザインアイデアを取り入れたいときにもChatGPTが活用できます。たとえば、ChatGPTに「東京で働く20代女性」など特定のペルソナを宿してインタビューを行ってみたり、「シニアUIデザイナーになったつもりで、以下のアイデアへアドバイスして」と投げかけ、アイデアの壁打ちを行ったり…など。ChatGPTと会話を交わすことで、新たなインスピレーションが得られるかもしれません。

・事例の要約など、リサーチに活用する

デザインをイチから考えていくためには、マーケティング調査の結果や、メディアに掲載された記事、ニュースなど、さまざまな情報を取り入れる必要があるかと思います。その情報量が膨大なときや、目を通す時間がないときにChatGPTを活用するのもおすすめです。テキストや画像データのコピーを入力して「要約して」と伝えるだけで、記事内容の要点をまとめて簡潔に説明してくれます。

・Webデザインの場合、コーディングを一任できる

WebデザイナーはHTMLやCSSでコーディングを行うかと思いますが、そのコードの記述をChatGPTに任せることができます。たとえば「カード型レイアウトで、コンテンツ幅は1000px」「レスポンシブ対応」など指示内容をテキストで入力すると、要望に沿ったコードが出力されます。ただし、現時点では要望の難易度や指示の仕方によってコードの精度にバラつきが出てしまうため、きちんと出来上がりを確認する必要があります。

・カラースキームを提案してもらう

デザインの基本的要素である「カラースキーム」をChatGPTに提案してもらうことも可能です。たとえば「エネルギー会社の採用パンフレットを作ろうとしています。カラースキームを提案してください」と入力すると、いくつかの案を理由とともに提案してくれます。ただし、ChatGPTからの回答は「ブルーとグリーンの組み合わせ」などあくまで基礎的な情報にとどまります。もっと具体的な提案が欲しい場合は再度ChatGPTに入力するか、提案内容をもとに自身で内容を詰めていくとよいでしょう。

デザイン業界でのChatGPTの活用事例

・動画広告制作の活用事例

ある会社では、ChatGPTとテキストから画像を作成するAIプログラム「Midjourney」を活用し、最小限の予算で動画広告を作成しました。複数のAIサービスを活用することで、最小限の予算で広告を制作することができるようになっています。

・UIデザインの活用事例

UI/UXデザイン業界でも、ChatGPTは有効に使われています。たとえば、ユーザーフィードバックの解析。顧客からのフィードバックをChatGPTに解析させ、デザイン改善に必要な具体的なアクションを導いてもらうことができます。他にも、ChatGPTでユーザーストーリーやデザインシナリオを生成することが可能。これにより最適なUI/UXデザインをすぐに検証することができます。

ChatGPTの活用メリットと今後の可能性

活用事例を見ても分かるとおり、デザイン業務にChatGPTを取り入れることでデザインやコーディングの時間が大幅に短縮されたり、デザインを考える際のインスピレーションが得られたり、さまざまなユーザーニーズに対応できるようになったり…など、さまざまな活用メリットがあります。ただし、現時点では出力される情報が不正確な場合があったり、人間のようにゼロからイチを生み出すクリエイティビティは発揮されなかったりするというデメリットもあります。ChatGPTの特性を理解して、うまく活用してみてください。

ChatGPTは今後、さらなる進化が予想されます。具体的には、これまでより高度な知識も理解・応答できるようになったり、ユーザーからの問いかけをより深く理解できるようになったり、専門性が高まったりする可能性があると言われています。ChatGPTの活用は、デザイン業界でもどんどん進んでいくでしょう。その一方で「ゼロからイチを生み出すこと」は未だ人間にしかできない行為です。そのためデザイナーという職業が消えることはないでしょう。今後は、ChatGPTをうまく使いこなせるデザイナーが重宝されそうです。

ChatGPTを有効活用すると、デザイン業務の効率性が高まる

本記事では、ChatGPTがデザイナーに与える影響や活用ノウハウなどについてご紹介いたしました。ChatGPTはデザインのコンセプトや方向性の言語化や、アイデアの壁打ち、リサーチした情報の要約、コーディングなど、幅広い業務に役立てることができます。

ChatGPTを活用することでデザイナーの業務は格段に効率化され、またアウトプットの質も向上することでしょう。その一方で、デザインをゼロから生み出すことはAIにはできない行為です。人間だからこそできるクリエイティブな仕事により多くの時間を割けるよう、うまくChatGPTを活用していきましょう。

また、案件獲得にはフリーランスキャリアの利用をぜひ検討してみてください。これまでの経験やスキルに応じた案件を紹介させて頂きます。

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