エンジニアのためのリスキリングガイド。未来を拓くスキルアップ方法とは?

最近よく耳にするようになった「リスキリング(Reskilling)」という言葉。時代が変化しIT人材が不足している今、新しいスキルの習得が必要となってきています。それは、すでにデジタル知識を持っているエンジニアにも言えること。クラウドエース株式会社が行った意識調査によると、対象となったエンジニアのうち7割が「エンジニアのリスキリングの必要性を非常に感じている」と回答しています。そこで本記事では、リスキリングの重要性や実践方法など、エンジニアのためのリスキリングガイドをご紹介いたします。

目次

リスキリングとは

リスキリングの概要

経済産業省が発表しているレポート「リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」によると、

リスキリングとは、

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。

特に近年は、デジタル化とともに生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業に就くためのスキル習得を指すことが増えています。

リスキリングは全世界から注目されており、たとえばAmazon社では2025年までに米アマゾンの従業員10万人をリスキリングすると発表しています。またウォルマート社でも、VRを用いた疑似経験や「小売のDX」に対応できるスキル習得を、店舗従業員に行うと宣言しています。

「リカレント教育」や「アップスキリング」との違い

リスキリングと類似している言葉として「リカレント教育」や「アップスキリング」がありますが、リスキリングはこれらとは別物とされています。

まず「リカレント教育」は、働く→学ぶ→働くのサイクルを回し続けるありようのことで、新しいことを学ぶために「職を離れること」が前提となっています。それに対してリスキリングは、業務と並行しながらのスキル習得を主軸に置いています。

また「アップスキリング」は和製英語のスキルアップと同意義で、現在のスキルをさらに伸ばすことを指します。しかしこれからの時代は、企業のビジネス戦略やビジネス構造、社会構造そのものが変化することによって、全く新しいスキル・知識が必要になることが予測されます。そのため単なるアップスキリングではなく、大幅な時代変容や新しい職業に応じた新たなスキルの習得(=リスキリング)が必要とされています。

エンジニアにおけるリスキリングの重要性

世界的企業であるIBMは、2018年に「現在の小学生の65%は、現時点で存在しない職種に就くことになる」という統計を紹介しました。またアメリカのAT&T社も、2008年に「25万人いる従業員のうち、未来の事業に必要なスキルを持つ人は半数に過ぎず、約10万人は10年後には存在しないであろうハードウェア関連の仕事のスキルしか持っていない」との見解を示しています。各社の発表からも分かるとおり、今は必要とされているスキルも10年後には過去のものとなっている可能性が高め。だからこそ、次の時代に向けたリスキリングが重要視されているのです。

また現在エンジニアとして活躍している方にも、リスキリングは必要だと言われています。IT業界は技術革新が激しく、開発環境もどんどんと進化を遂げています。そのためレガシーな知識・スキルしか習得していないエンジニアは、クラウド環境やDXにも対応できるモダンエンジニアへと移行することが求められているのです。

またエンジニアがリスキリングに取り組むと最新技術やツールを習得することができ、業務効率化やパフォーマンス向上につながります。これにより、長時間労働といった社会問題も解決できるでしょう。さらには、チーム全体の生産性の向上や、人件費の削減・競争力の向上も期待されています。

リスキリングの実践方法

続いて、エンジニアのリスキリングの方法についてご紹介します。

ゴール設定と現在地の把握

まず行うべきなのが、ゴール設定と現在地の把握。あるべき姿と現状のギャップを知ることで、具体的にどんなスキルを習得すべきなのか、どこまで勉強するべきなのかなどがクリアになります。

目標設定には「SMART」というフレームワークを活用するのがおすすめです。SMARTとは、以下の5つの頭文字をとった言葉。この5つの要素を満たす明確な目標を作ると、リスキリングも効率的に進むでしょう。

S:Specific(具体的であること)
M:Measureable(測定可能であること)
A:Achievable(達成可能であること)
R:Result Oriented(最終目標に関連した目標であること)
T:Time setting(期限が設定されていること)

学習リソースの活用

リスキリングは「社内での勉強会」「社外セミナー」「スクール」といった各種学習リソースを活用して行いましょう。

まず社内での勉強会は、同僚などとの情報交換やノウハウ共有を行うリスキリング方法で、社員同士でコミュニケーションを取るためモチベーションが維持しやすいというメリットがあります。

社外セミナーは、その道のプロから幅広い最新情報やトレンドを学ぶことができるリスキリング方法。ただしセミナーに参加するだけでは技術は身につかないため、アウトプットと並行して行うことが必要です。

スクールへの通学は、社内勉強会やセミナーよりもさらに専門的なスキル・知識を身につけるのに有効なリスキリング方法です。最近は対面ではなくオンラインで学べる環境も増えているため、現在就業中の方でも利用しやすくなっています。その際も、仕事の負担になりすぎないよう気をつけながら参加してみてください。

プロジェクトベースの学習

リスキリングによって習得した新しい知識・スキルは、可能な限り実際のプロジェクトでも応用してみてください。実際の業務で実践することで学びが定着し、さらには業務で活用する際の注意点やコツなど、新たな発見が生まれることもあります。

またリスキリングした内容は、ポートフォリオにまとめておくのもおすすめです。学んだことを整理できるのはもちろん、将来的に転職するとなった場合の技術力や知識のアピール材料となります。またポートフォリオを作成しておくと、面接や書類選考の際に「学ぶ姿勢がある」「向上心がある」といった評価にも繋がり、より志望企業へ採用されやすくなるでしょう。

リスキリングを持続させるためのポイント

リスキリングを行う際に注意すべきなのが、時間や予算の使いすぎ。「リスキリングの時間は1日◎時間まで」「出費は年間⚪️⚪️万円までに抑える」など、ご自身が無理なく行える範囲をあらかじめ定めておくとよいでしょう。

またリスキリングの障壁になりやすいのが、モチベーションの低下です。目標を達成するまで持続できるよう、モチベーションを維持する対策をとってみてください。たとえば勉強後に自分へのご褒美を用意しておいたり、「◎月までに技術習得ができたら最新ゲームを買う」といった計画を立てたりするとやる気が出やすくなるかもしれません。またToDoリストやガントチャートを活用して学びの進捗状況を管理しておくと、勉強効率が高まりやすくなります。

リスキリングがうまくいく人の特徴

リスキリングがうまくいく人は、以下のような能力を持っている人が多いと言われています。

自分の将来について考える

リスキリングは、その必要性に迫られると自発的に行えるようになるものです。そのため社会の変化や将来の自分の方向性、将来性などを頻繁に考える方は「このままでいいのか」という焦燥感が生まれやすく、未来に向けて自分を変えようとする意識が働きます。それが、リスキリングへのモチベーションにつながるのです。

周りに流されず、自分のキャリアを築こうとする

特に会社員として働いていると、周りの環境に流されたり、同僚と足並みを揃えようとしてしまったりするものですよね。しかしリスキリングを成功させる人には、他者に依存せず自らでキャリアを構築しようとする「キャリアオーナーシップ」がある方が多いと言われています。

目標を達成しないと気がすまない

リスキリングで重要になるのは、やはり最後までやり抜くことです。新しい知識・スキルは一朝一夕で身に付くものではないため、「目標を達成することにいかにこだわれるか」「目標達成できていない状態に不満を抱けるか」が、成功の鍵を握っていると言えるでしょう。

リスキリングで、不測の未来に備えよう

本記事では、主にエンジニアの方に向けてリスキリングの重要性や実践方法などをご紹介いたしました。ジェネレーティブAIの進化などにより、未来が予測できない状態となっている現代。今ある職業が消滅してしまう可能性も十分にあるため、現在エンジニアとして働いている方にもリスキリングが求められています。リスキリングによって市場価値も高めていけるため、本記事も参考にしながら新しい知識・スキルの取得にチャレンジしてみてください。

また、案件獲得にはフリーランスキャリアの利用をぜひ検討してみてください。これまでの経験やスキルに応じた案件を紹介させて頂きます

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