出勤の義務がなく、勤務時間の縛りがないことが大きな魅力の1つでもあるフリーランスエンジニア。しかし、勤務時間は個人差が大きく、不透明な部分も多いことも事実です。本記事では、フリーランスエンジニアの労働時間や時間管理の重要性、効果的な管理方法について解説していきます。フリーランスエンジニアの働き方に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
フリーランスエンジニアの平均的な労働時間
フリーランスエンジニアの平均的な労働時間はどれくらいなのでしょうか。1日あたりと、週あたりで見ていきましょう。
フリーランスエンジニア1000人を対象に実態調査を行ったフリーランスエンジニア白書では、1日あたりの作業時間は約5時間で、「1時間未満」という回答が約5.9%、「1~3時間未満」が約22.1%、「3~5時間未満」が約31.3%、「5~10時間未満」が約33.9%、「10時間以上」約6.8%という結果でした。「5~10時間未満」がボリュームゾーンとなり、会社員の一般的な労働時間とほぼ同じですが、案件の状況によって時短での勤務やスキマ時間を活用した勤務など、柔軟に調整することが可能です。
同じく、フリーランスエンジニア白書の週あたりの平均作業日数をみてみると約4日で、「1日」が10.48%、「2日」が14.99%、「3日」が17.83%、「4日」が17.04%、「5日」が27.13%、「6日」が7.35%、「7日」が5.19%という結果でした。最も多いのは「5日」ですが、閑散期などには週3日程度の勤務になることもあるようです。
労働時間の変動要因
では、労働時間が変動する要因には何があげられるのでしょうか。
フリーランスエンジニアのスキルレベルは労働時間に影響を与える一因になります。高いスキルと経験をもつエンジニアは、効率的にタスクを完成させることが可能ですし、新たな技術を学習する時間も少なくて済みます。しかし、初心者レベルや未熟なスキルの場合、課題を解決するための時間が必要となるため、労働時間は長くなる傾向があります。
専門分野の違いも労働時間に影響を与えます。例えば、データベース管理やAI開発など、より高い専門性を要する分野では、必要な知識やスキルが高度であるため、タスクにかかる時間は長くなる可能性があります。
また、プロジェクトの規模や工数も労働時間を左右します。大規模なプロジェクトは、設計からテストまでの一連のフローを含むため、全体の工程を考慮しながら動くには長い時間を要することが考えられます。一方で、小規模なプロジェクトや個別の修正作業などは、短時間で終えられる可能性が高いです。
クライアントとの契約条件も労働時間に大きく影響します。固定の月収を得るためには一定の労働時間を確保する必要がありますし、プロジェクト契約の場合、タスク完了までの時間が長引くと収入に影響が出ることもあります。
労働時間を管理する重要性
長時間働くことが必ずしも評価や収入につながるわけではありません。24時間という限られた時間の中で生活しているため、適切な休息と労働のバランスを保つことで、高品質な仕事を提供できることを忘れてはなりません。また、長時間の作業は肉体的、精神的にも大きなストレスを溜め込む原因となります。
具体的な健康への影響
では、具体的に長時間労働によるリスクには、なにがあげられるでしょうか。心身や精神にに与えるそれぞれの影響について見ていきましょう。
どんな仕事でも何かしらのストレスが発生しますが、フリーランスの場合、クライアントのニーズを理解することや業績の自己管理など、自身の肩にのしかかる負担が大きいです。長時間労働が続くことで、精神的なストレスが増加し、健康を害する可能性があります。
長時間労働は自然と睡眠時間を削ることとなり、十分な休息を摂ることが困難になります。長期的にこんな状態が続くと睡眠障害を引き起こし、日常生活を送る上での機能低下や、生活習慣病のリスク増加などの問題が生じる可能性があります。
パソコンを使った作業が主となるフリーランスは、眼精疲労を起こしやすいです。長時間の画面作業は目を酷使するだけでなく、姿勢の悪さからくる肩こりや首の痛みなども引き起こします。
食事の乱れや運動不足、寝不足など、フリーランスの生活は慢性疾患を招きやすい環境にあるといえます。長期的な視点で自身の健康を管理するためにも、生活習慣を見直し、健康的なライフスタイルを心がけることが大切です。
労働時間の管理で得られるメリット
労働時間の管理をすることで得られるメリットには、なにがあるのでしょうか。
最も大きなメリットは生産性の向上です。時間を管理することによって、どの業務にどの程度の時間を割いているのか具体的に把握することができます。そのため、無駄な時間を削減し、重要な業務に専念する時間を増やすことが可能になります。
労働時間の管理をしっかりと行うことで、仕事とプライベートのバランスを保つことができます。フリーランスは自由な時間配分ができる反面、働きすぎてしまう傾向があります。しかし、時間を管理することで働き過ぎを防ぎ、メンタルヘルスを保つことができます。
労働時間の管理はクライアントとの信頼関係構築にも寄与します。納期を守ることはフリーランスにとって重要な課題であり、時間管理をしっかりと行うと納期管理がしやすくなります。クライアントからの評価も上がり、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
労働時間の管理を行うと、自己評価や仕事の価値について客観的に把握することができます。具体的な時間の見積もりができれば、自分の労働力を適正に評価し、仕事の依頼に対する見積もりや報酬設定を適正に行うことができます。
効率的に労働時間を管理する方法
上述したような健康への影響を防ぐためにも、フリーランスエンジニアは労働時間を効率的に管理する必要があります。では、具体的にはどんな方法があるのでしょうか。
まずは自身の日々の行動を見直し、時間の無駄遣いを排除しましょう。具体的には仕事の途中でSNSをチェックする時間、テレビを観てしまう時間など、本当に必要な行動が何かを見極めてください。毎日の行動パターンを記録すると、時間の使い方が客観的に見えてきます。
一日の仕事を一定の時間単位で区切ると、作業の効率を高めることができます。特に「深く考える必要がある作業」や「手間をかけることなく進められる作業」は別の時間帯に設定するなど、時間を区切ることで集中力を維持できます。
作業の優先度を決めておくと、仕事に取り組む際の明確なガイドラインになります。納期が迫っているもの、後回しにしても間に合うものなど、個々の作業内容に応じて適切に優先順位付けをすることで、より効率的な時間管理を実現できます。
休息する時間もスケジュールに組み込むと、より効率的な時間管理が可能となります。こまめに休憩を挟むことで、作業の質を保つことができるでしょう。また、リフレッシュするための趣味の時間もスケジュールに組み込むと、心身ともにリラックスし、次の作業に向けての活力につながります。
効率的な時間管理のためには、適切なツールを活用することも大切です。タスク管理アプリやカレンダー、タイマーなどを利用し、自身の時間管理方法をもっと効率的にしてみてください。
すべての作業を自分一人でこなすのではなく、一部を外部に委託することも、効率的な時間管理を実現するひとつの方法です。特に、専門的な知識が不要で、時間がかかる作業はアウトソーシングを検討してみましょう。これにより、エンジニアとしての専門的な作業に集中できます。
適切な時間管理で健康的なフリーランス生活を
フリーランスエンジニアにとって、労働時間管理は自己管理の大きな柱の一つです。自由度の高い働き方ができる反面、その分だけ自己管理の責任も伴います。自分に合った労働時間の管理方法を見つけ、効率的な働き方と健康的なライフスタイルを両立させることが、フリーランスエンジニアとしての成功の鍵を握っているといえるでしょう。
また、案件獲得にはフリーランスキャリアの利用をぜひ検討してみてください。これまでの経験やスキルに応じた案件を紹介させて頂きます。