Javaの長所を継承しつつ、null安全性や簡潔な文法などの改善を施したプログラミング言語Kotlin(コトリン)。Android開発において、GoogleがKotlinを公式言語として採用したことで、その人気に拍車がかかっています。
一方でAndroid開発言語として有名なJavaも依然として需要が高く、

どちらの言語を習得しよう
と考えている方も多いはず。
そこで本記事ではKotlinとJavaそれぞれの違いや特徴、メリット・デメリットなどを比較して解説します。
Javaとは
JavaとはC言語をベースに生まれたプログラミング言語。数あるプログラミング言語の中でも圧倒的なシェアを誇り、Googleが開発で使用する三大言語(Java、C++、Python)の一つとしても有名です。私たちの生活を支えるデスクトップのアプリやWebサービス、Androidアプリ、金融機関の機関システム、家電やカーナビの組み込みシステム、IoT機器など、あらゆるシステムがJavaで開発されています。
Javaはシンプルさ、オブジェクト指向、ポータビリティを重視した汎用プログラミング言語です。Javaの最大の特徴は、Write Once, Run Anywhere(「一度〔プログラムを〕書けば、どこでも実行できる」)を実現する中間言語バイトコードとJVMにあります。これにより、様々なプラットフォームで動作可能な高い可搬性を持ちます。
また、豊富な標準ライブラリ、サードパーティライブラリ、開発ツールが提供され、大規模システムの開発に適しています。Javaは、堅牢で大規模なシステム開発に用いられる言語として、長年にわたって企業システムやAndroidアプリ開発で活用され、進化を続けています。
一方、デメリットとしては、実行速度がネイティブ言語に比べてやや遅いこと、起動時間が長いこと、冗長な文法によるコード量の増加などがあります。
また、Javaのバージョンアップに伴う互換性の問題や、ライセンス体系の変更によるコストの増加なども、一部のユーザーにとっては懸念事項となっています。しかし、総合的に見れば、Javaは長年にわたって企業システム開発で実績のある信頼性の高い言語であると言えるでしょう。
Kotlinとは
KotlinとはJetBrain社が2011年に開発したJava仮想マシンで動くオブジェクト指向のプログラミング言語。2017年にGoogleがAndroid開発の推奨言語に採用したことから注目を集めるようになりました。それまでJavaで開発されていたAndroidアプリ開発は、Kotlinが登場したことでより簡単になり、アプリ開発にKotlinを採用されるケースが増えています。それに伴い、Kotlinを扱うエンジニアの数も急速に拡大している状態です。
Kotlinの主な特徴として、null安全性、型推論、拡張関数、データクラス、スマートキャストなどが挙げられます。これらの機能により、ボイラープレートコードを減らし、より読みやすく、バグの少ないコードを書くことが可能です。
また、Kotlinは関数型プログラミングと オブジェクト指向プログラミングのコンセプトを組み合わせており、柔軟で表現力豊かなコーディングが可能です。Kotlinは、Android開発を中心に急速に普及が進んでおり、サーバーサイド開発でも採用が増えています。
Kotlinのメリットは、Javaに比べてより簡潔で安全なコードが書けること、null安全性によりNullPointerExceptionを防げること、型推論により型宣言を省略できること、拡張関数により既存クラスの機能を拡張できることなどです。また、Javaとの高い互換性により、既存のJavaコードと共存できるのも大きな利点です。
一方、デメリットとしては、Javaに比べて言語自体が新しいため、学習コストがかかること、一部のライブラリがKotlinに対応していないこと、ビルド時間がJavaに比べて長くなる傾向にあることなどが挙げられます。ただし、Kotlinのエコシステムは急速に成長しており、これらのデメリットは徐々に解消されつつあります。
JavaとKotlinの違いについて


JavaとKotlinは、どちらもJVMで動作するプログラミング言語ですが、いくつかの重要な違いがあります。詳しく見ていきましょう。
KotlinはJavaの冗長性を削減し、より簡潔で表現力豊かなコードを書くことを目的に設計されました。Kotlinではセミコロンの省略、型推論、プロパティ構文などにより、コード量を減らすことができます。
KotlinはNull安全性を言語レベルでサポートしており、コンパイル時にNullPointerExceptionを防ぐことができます。Javaでは、nullチェックを開発者が手動で行う必要があります。
Kotlinでは関数は第一級オブジェクトであり、変数に代入したり、引数として渡したりできます。また、拡張関数により、既存のクラスに新しい機能を追加することができます。Javaでは、関数は常にクラスに属しています。
Kotlinではデータを保持するだけのクラスを簡単に定義できるデータクラスが用意されています。Javaでは同等の機能を実装するには、ボイラープレートコードが必要です。
Kotlinでは、型チェックと変数キャストを自動的に行ってくれるスマートキャストが利用できます。Javaでは明示的なキャストが必要です。
Kotlinではすべてがオブジェクトであり、プリミティブ型はありません。また、Kotlinの型システムは、Javaよりも柔軟で表現力豊かです。
KotlinはJavaとの高い相互運用性を持ち、既存のJavaコードを呼び出したり、Javaから Kotlin コードを呼び出したりできます。ただし一部のKotlin固有の機能は、Javaから直接利用できない場合があります。
これらの違いからKotlinはJavaに比べてより安全で簡潔なコードを書くことができ、開発者の生産性を向上させることができます。ただし、Javaの豊富なエコシステムや、既存のJavaプロジェクトとの互換性も考慮する必要があります。
これから学ぶならKotlinがおすすめ?
プログラミング言語を選択する際は、個人の目的や状況に応じて判断することが重要ですが、これから学ぶ言語としてはKotlinがおすすめです。
KotlinはJavaの長所を継承しつつ、より現代的で安全な言語設計を採用しています。Kotlinを学ぶことで、null安全性、型推論、関数型プログラミングなど、現代的なプログラミングの概念を身につけることができます。また、KotlinはAndroid開発において公式言語として採用されていて、モバイルアプリ開発の領域で大きな需要があります。
さらに、KotlinはJavaとの高い互換性を持つため、既存のJavaのエコシステムを活用することができます。Kotlinを学んだ後にJavaを学ぶ必要が生じた場合でも、比較的スムーズに移行することが可能です。
一方、Javaは長年にわたって使われてきた実績があり、企業システムの開発で広く採用されています。Javaを学ぶことで、幅広い就職先や案件に対応できる可能性があります。Kotlinを先に学んで、必要に応じてJavaを学ぶのが効率的なアプローチと言えるでしょう。ただし、最終的には個人の目的やキャリアプランに合わせて、学ぶ言語を選択することが大切です。KotlinとJava、どちらを学習しようか迷っている方はぜひ本記事を参考にしてください。
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