私たちの生活を支える、さまざまな製品やシステムの「動き」を司っている制御系エンジニア。今日ではIoTやAIといった新技術の導入により、機械学習による自動制御、ネットワークを通じた遠隔制御など、これまで以上に先進的な分野になっています。そのため、具体的に制御系エンジニアが具体的にどんな仕事なのか、知りたいという方も多いはず。本記事では制御系エンジニアとはなにか、仕事内容はもちろん、必要なスキルや平均年収、将来性まで紹介していくため、気になる方はぜひ参考にしてください。
制御系エンジニアの役割
制御系エンジニアは、機械やソフトウェアなどのシステムの設計や運用を行う専門家として欠かせない存在です。その名の通り、クライアントが望む動作をするように機械やプロセス、さらにはソフトウェアなどの動作を制御する方法を設計します。また、システムをより安定的に動作させるための設計だけではなく、効率化を考えた設計でエネルギー消費の削減やメンテナンスコストの削減なども実現しています。
制御系エンジニアの仕事内容
では、具体的に制御系エンジニアはどのような仕事を行うのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
制御系エンジニアとしての主な仕事は、制御システムや機器の設計と開発を行うことです。安定した動作を実現するために、実験やシミュレーションを活用して、システムが予期される動作を正確に行えるように取り組みます。
開発された機器やシステムが期待通りに機能するかどうかを確認するために、さまざまなテストを行うのも制御系エンジニアの大切な仕事です。テストした結果は主に、システムの動作調整、エラーの発見、問題箇所の修正などに役立てられます。
既存のシステムや機器のメンテナンスも制御系エンジニアが担当します。単に現状維持を目的としたものだけでなく、改善や最適化を行います。また、既存の技術のリノベーションや、新技術の導入によるアップデートも重要な業務となります。
品質保証や規制への対応も制御系エンジニアの業務として欠かせません。製品が工業規格や安全基準を満たしていることを確認し、規制当局や第三者の評価機関からのアセスメントへの対応や、物品の認定取得のための手続きなども行います。
制御系エンジニアはプロジェクトを組織し、リードする役割も担います。そのため、他のチームメンバーや関連部門との円滑なコミュニケーションも業務のひとつとなります。スケジュール管理、予算管理、リソース調整といった具体的なプロジェクトマネジメントスキルはもちろん、関係者へのプレゼンテーション能力や、上層部への進捗報告、意思決定への積極的な参加など、幅広くコミュニケーションをとることが求められます。
制御系エンジニアに必要なスキル
多岐にわたる役割を担う制御系エンジニアですが、活躍するためにはどんなスキルが必要なのでしょうか。
制御系エンジニアにとって、数学と物理の知識は欠かせません。微積分や線形代数、信号対応やシステム解析などの理論を理解するためには、高度な数学の知識が求められます。また、物体の動きやエネルギーの伝達など、基本的な物理法則についても理解しておく必要があります。
現代の制御システムは、多くがコンピュータによって制御されています。そのため、プログラミングスキルも必要不可欠です。特にCやC++、Pythonなどの言語は制御系のプログラミングでよく使われるため、必須スキルとして身につけておきましょう。
制御系エンジニアは、特定の部分だけでなく、システム全体を理解する必要があります。具体的には、物理システムの動作原理、電子システムの構成、そしてそれらを制御するソフトウェアの相互作用について理解しておくことが重要です。
制御系エンジニアには問題を分析し、適切な解決策を見つけ出す問題解決能力も必要不可欠です。そのため、数学的スキルだけでなく、論理的な思考や創造的な思考、そして考えた解決策が実際の場面で有効か評価するためのシミュレーションや実験の能力なども重要です。
制御系エンジニアはポジション上、他のエンジニアやクライアントと直接連携をとることが多いです。そのため、他の人と効果的にコミュニケーションをとる能力も大切です。自身の考えを明確に伝え、他人を説得するためのプレゼンテーション能力が求められます。
どのような業界で需要があるのか

システムの設計や運用に欠かせない制御系エンジニアですが、一体どんな業界で技術が必要とされているのでしょうか。
制御系エンジニアの需要が高い業界として、自動車産業があげられます。自動車の性能を向上させ、安全性や燃費効率を高めるためには、複雑な制御技術が必要となるためです。特に最近では、自動運転技術の開発に力が入れられており、先進的な制御システムを設計、開発するエンジニアが求められています。
航空宇宙産業もまた、制御系エンジニアのスキルが重要とされる業界のひとつです。飛行機やロケットに数多く使用されているセンサーやアクチュエータの精密な動きをコントロールするためには高度な制御技術が不可欠で、専門家である制御系エンジニアが活躍できる業界です。
自動化や精密化が求められる医療機器の開発にも制御技術が不可欠なため、制御系エンジニアの需要が高い業界です。特に近年は、AIやロボット技術が医療現場に導入され、患者の診断や治療に革新をもたらしています。
電力・エネルギー業界でも制御系エンジニアが求められています。発電所や送配電網の制御から、再生可能エネルギーの効率的な利用に向けた技術開発まで、幅広く活躍の場があります。
ロボット製造業も、制御系エンジニアにとって大きなフィールドといえるでしょう。工業用から家庭用、そして介護用まで多種多様なロボットの開発には、細やかな制御技術とその設計、開発能力が求められるため、制御系エンジニアが欠かせません。
制御系エンジニアの平均年収
2024年1月時点でスタンバイに掲載されている求人統計データによると、制御系エンジニアの平均年収は430万円とされています。ただし、これはあくまで平均的な値であり、企業の規模、地域、業界、個々のスキルレベルなどにより大きく変動します。大手IT企業やベンチャー企業では、より高額の年収が見込まれる場合もあり、またプロジェクトに関わる範囲や役割により、給与に差が出ることがあります。
制御系エンジニアの将来性
IoTとAI技術の拡散により、制御系エンジニアへの需要が高まり、デバイス間の通信や先進的な制御アプローチの開発が加速しています。そのため、自動化が日常生活の質を改善し続ける中で、ソフトウェア技術とデータ分析能力を兼ね備えた制御系エンジニアは今後ますます重要になるでしょう。
暮らしに欠かせない製品づくりを支えよう
制御系エンジニアは、機械動作をコントロールするシステムを手がけるポジション。ロボット、自動車、スマートフォン、医療機器、家電など、人々の暮らしに欠かせないあらゆる製品づくりを支えています。携わった製品が世の中で使用される、また業務を行う上で最新技術に触れられるため自己成長しやすいなどのやりがいもきっと感じられるはず。気になっている方は、ぜひ次のキャリアパスとして制御系エンジニアを目指すのはいかがでしょうか。
また、案件獲得にはフリーランスキャリアの利用をぜひ検討してみてください。これまでの経験やスキルに応じた案件を紹介させて頂きます。