アメリカの情報技術企業において急速に普及しているプログラミング言語である「Scala（スカラ）」。Javaと高い互換性を持ち、その使いやすさから注目を集めています。日本においても今後Scalaの活用が増加することが予測されており、早急に学習を始めたいと考えるエンジニアも多いことでしょう。そこで本記事では、Scalaの主な特徴やJavaとの違い、効果的な勉強方法について解説をします。Scalaについて知りたいエンジニアはぜひ参考にしてください。
Scalaとは
Scalaはオブジェクト指向言語と関数型言語の特長を組み合わせた、静的型つきのプログラミング言語です。それは強力な型システムと豊富な機能を持ち、開発者にとってよりプログラミングをしやすい環境を提供します。
Scalaの誕生
2003年にスイスのEPFL（連邦工科大学ローザンヌ）のMartin Odersky教授によって設計されました。JavaのコンパイラやGeneric Javaといった開発に携わりつつ、より理論と実践を統合した新たなプログラミング言語の設計を目指した結果、Scalaが生まれました。
Scalaの主要な特長
Scalaにはどんな特長があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
オブジェクト指向と関数型プログラミングの両方をサポートしています。そのため、より柔軟なプログラム設計が可能となり、多様な開発スタイルにも対応することができます。同時に関数型プログラミングの要素を統合し、副作用の少ない効率的なコード作成を可能にします。
ScalaはJavaとの高い互換性を持っています。Javaプラットフォーム上で動作し、Javaのライブラリなどの資産を活用することができます。ScalaからJavaコードを呼び出すことも、JavaからScalaコードを呼び出すことも可能なため、既存のJava環境への導入がスムーズになります。
Javaに比べてコードが簡潔で、読みやすいことも特長のひとつです。Scalaではオブジェクト指向と関数型プログラミングのコンセプトを混合することで、効率的で明確なコードの記述を可能にしています。また型推論やラムダ式などの機能により、量のあるコードでも短く、かつ理解しやすいコードを書くことができます
Javaに比べてコードが簡潔で、読みやすいことも特長のひとつです。Scalaではオブジェクト指向と関数型プログラミングのコンセプトを混合することで、効率的で明確なコードの記述を可能にしています。また型推論やラムダ式などの機能により、量のあるコードでも短く、かつ理解しやすいコードを書くことができます。
Akkaという強力な並行処理フレームワークをサポートしています。そのため複数のタスクを並行して処理するアプリケーションの開発が可能です。また、イミュータブルなデータ構造と先述した関数型プログラミングの特性を活用することで、並行処理・並列処理プログラムを安全かつ効率的に記述することができます。
ScalaとJavaの相違点
JavaとScalaの共通点として、Java仮想マシン（JVM）上で動作することが挙げられます。一方で相違点にはどんなことがあるのでしょうか。
Scalaは関数型プログラミングに対する強いサポートを備えており、高階関数やイミュータブルデータ、パターンマッチングなどの機能を持っています。これに対してJavaは伝統的にオブジェクト指向プログラミングをサポートしているため、互いに異なる構文をもっています。
また、ScalaはJavaに比べて簡潔なコードを書くことが可能です。Scalaでは型推論を使うため、型を毎回指定する必要がありません。これに対してJavaでは、変数を宣言する際には常にその型を指定する必要があります。
Scalaにはオプション型と呼ばれる仕組みがあり、これによりnull値を持つことのない安全なコードを書くことができます。さらにオプション型はエラーハンドリングをより簡潔に行うことができます。一方Javaでは、nullチェックを頻繁に行う必要があるため、エラーハンドリングが煩雑になりがちという違いがあります。
ScalaにはJavaにはない多くの高度な特性があり、これらを理解し活用するにはJavaよりも時間や労力がかかるといわれています。一方で、Scalaの特性を活用すればより強力で効率的なコードを書くことができるようになります。
Scalaの利用シーンや実際の使用例
実際にScalaはどのようなプロジェクトや業界で使用されているのでしょうか。
世界中で使われているSNS「X（旧：Twitter）」もScalaを使って開発されたサービスのひとつです。X（旧：Twitter）はコードの一部をRubyからScalaに書き換えたことで、システムの堅牢性とパフォーマンスを向上させることに成功。3億人を超えるユーザーを抱える巨大サービスへと成長を遂げています。
Apache Sparkは分散データ処理フレームワークで、Scalaを使って書かれています。この分野では、Streams、Machine Learning、GraphXといった機能をサポートするためにScalaを活用しています。優れた機能とパフォーマンスが好評をよび、ビッグデータ業界でのScalaの利用は増加傾向にあります。
サービスの提供者であるLinkedInもScalaを多用しています。LinkedInの一部のサービスはScalaにより、高性能で信頼性の高いウェブサービスが提供されています。他の企業もScalaを選択する主な理由は、この言語が高いスケーラビリティと並行性を提供してくれるからでしょう。
Scalaはゲーム業界でも利用されています。例えば、ソニーのPlaystationの一部システム開発にはScalaが用いられています。高度なマルチスレッディングと並行処理の処理能力を持つため、リアルタイムでの応答性や高いパフォーマンスが求められるゲーム開発にも有効的です。
大量のデータをリアルタイムで処理する能力が評価され、高周波取引を効率的に行う金融系企業でもScalaが活用されています。金融商品の複雑なロジックをDSLのように簡潔に表現することが可能なため、金融業界においても重宝されています。
Scalaの効果的な学習方法
Scalaについて学習をする際に、より効率的に包めるためにはどうしたら良いのでしょうか。
Scalaを学ぶためにはまず「Scala for the Impatient」や「Programming in Scala」といった基礎教材を活用することがオススメです。基礎教材で学んだ内容をもとに、自分自身で実際にコードを書いて試すことで知識を定着させましょう。
理論的な知識だけでなく、実際のプロジェクトを通じて学ぶことも大切です。ある程度基礎を身につけたら、GitHubやBitbucketなどで自分でプロジェクトを作成し、取り組んでみましょう。具体的な問題解決に挑戦することでScalaに対する理解も深めることができます。
Scalaは多機能な言語であるため、全てを自分だけで学ぶのは大変です。そのため自主学習で行き詰ってしまった人は「Coursera」や「Codecademy」などのオンライン教育プラットフォームで、講師が指導する形式のチュートリアルやコースを受講するのが良いでしょう。
コミュニティに参加することも、Scalaの学習をより深める上でとても効果的です。コミュニティに参加することで経験豊富な開発者からのアドバイスを受けられたり、自身が作成したコードにレビューをもらうことができるため、自分では気付けなかった新たな視点を得ることができます。
市場価値の高いスキルセットを手に入れる
Scalaは、長きにわたりIT分野をけん引してきたJavaの次世代言語とも評され、充実した技術力と実務経験を積むことで、エンジニアとしてのキャリアを大きく飛躍させる可能性を秘めています。その専門性の高さから報酬が高いプロジェクトが多いため、収入増加を目指すエンジニアにとってもScalaの習得は有効的でしょう。Scalaをマスターすることで、市場価値の高いスキルセットを手に入れることができるため、自身が思い描くキャリアの選択肢を広げることができます。
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